これは君と別れてからの話だった
白と青と黒
そこは真っ白な世界だった。
とにかく真っ白だった。
見渡す限り何も無くて、ただ、俺しかいないんだ、と知っただけだった。
自分はモノクロで、色が付いてなかった。影はあった。でもやっぱり黒かった。
これは夢だよなと思ったはずだ。こういうことは初めてだったけど。
今まで、大抵同じことを繰り返してて何も変化がないまま終わるものしか見たことがなかったから。こんな夢見たことも無い。
太陽も雲も、ましてや空までも無いその世界で、俺はどうしようもなかった。
どこへ進んでも何も変化は無く、飛び跳ねてみても、空に浮くような気もしなかった。
ただただ何も出来ない少年が一人いるだけ。その場に膝を抱え座っていた。
夢はいつまでも覚めなかった。これはもしかして夢じゃないのかと思った。
…そう思ったとき、俺は泣いていた。涙が零れてきていた。仕方なかったんだ。泣いても何一つ変わらないけど、無くしかなかった。
君もいないのにどうすればいいんだ
---
何かが向こうに立っていた。
ずっとずっと先、もう何なのか誰なのかも分からない。いつもなら。
でも今は分かる。
あの、青色に見える黒い目も君の顔も。
僕とは違って君には色が付いてる
あんな所にいたんだ。
手も届かないところにいたんだね。
残念だな。
霞んで今にも消えてしまいそうな君は、いつものように少しだけ微笑んで、
風が吹いて、
消えてしまった。
バイバイ。さようなら。
君に会えてよかった。
---
「って夢を見たんだけど」
「………」
「あなたらしいね」
あ、笑ってくれた
2007/03/11 (支離滅裂な夢)