そらにのぼる



「青ざめた海は、空と交わったところで終わりを迎えた」

「…どういう意味?」
「…さあね。ぼくもおじいちゃんが言ってたのを覚えてただけだから」

空を見上げる。
もちろん何もない。

「きっとさ、」
「うん?」
「きっと、ずっとずっと先に行ったら何かわかるのかもしれないよね」

はるか上空を鳥が一羽。
あの鳥は、さみしくないのだろうか。

「どう思う?」
「…そうかも、しれないよね」
「…だよね」

目線を水平に戻し、互いに目を合わせた。


「青ざめた海は、空と交わったところで終わりを迎えた、ね…」


海の向こうに何があるのか分からない。
けれど、ふたりで行けば大丈夫だと、なんでだか、そう思った。

「じゃあ行こうか」
「うん」





080712