あおを落としていたそら
空を見上げていた僕は独りで、
独りでいることに何も疑問を持たなくて、
独りでいることが当たり前だと思っていた。
疑問に思ったことは、たぶん、一度もない。
気が付いたら、見上げた空が色褪せていて、
手も足も顔も動かせなくなって、
息をするのも苦しくなった。
その時、色褪せているという事実すら認識できずに、
ただ茫然と空を見て涙を流した。
今は少しずつ空が青くなっている。
同じ空を見ている人がいて、
空を見ている僕を、見守ってくれる人いる。
これからさき、きっと
もっともっと色鮮やかなセカイへと変わっていくのだろう。
色が濃くなっていっても、
色褪せて行ってしまったとしても、
もう僕は独りじゃないのかもしれない。
独りになる時はきっとやってくる。
それでも僕はそれを受け止めてみせる。
思い出があれば、きっと歩いて行ける。
空が青くなってきて、本当に良かった。
今は桜の花弁が舞い降りてくる景色を待ちわびながら
また空を見上げる。
100322