―――今日は言葉をのせずに息を吐きだした。泡はいつものようにゆらゆらと水面へ向かう。あの泡は弾けても音を響かせることはない。それでもいいと思えた。髪がゆらゆら揺れる。泡の行方を見守るように、ぼくはずっと見ていた。



それでも、言葉を掬ってくれる人がいるのでしょう?



ぼくは自分の身を守ることにした。これで相手が傷つくことも知っていた。我慢して勝手に自分の身体をぶっ壊して、涙を流すのはもういやなんだ。自分を守れるようになりたいんだ。だから、あなたを傷つけることになっても、ぼくはぼくを守る。



自分を守ることで自分も傷つくなんて、馬鹿みたいだね。



だれか、ぼくの声きこえますか?



やわらかい空。ぬくぬくした感じじゃなくて、透き通ってる



空を飛ぶ魚と海を泳ぐ鳥。



すこしずつオレンジ色に染まる町



きみへのうたごえ



ぼくは早く大人になりたかった。子供のままでは出来ることが限られていた。はやく大人になりたかった。 もう成人になった。 これが大人なのか。ぼくが思っていたものと似ても似つかない。こうじゃない。こうなりたかったんじゃない。 もっと、もっと――

でも、いい。こうなった、なってしまったから。これでいい。きっとこれから、どうとでも変われる。過去にとらわれ過ぎないように、溢れた涙をぬぐって、前を向いた。



良い子でいようとした。いや、良い子でいないといけないと思ってた。その言葉で自分を縛りつけた。倒れた時、言葉の鎖が解けて、自分の足で立てなくなっていた



ざぶん と音がした。見上げるとだれかが潜ってきたようだ。あれは誰だろう…。そう思っている間に、誰かは僕とは少し離れたところにたどりついて、ゆっくりと膝を抱えた。「誰」かの言葉は泡になってゆらゆらのぼる。あの言葉が、湖畔に座る誰かに届くと良い。そんなことを思った。



あの人を早く水面へ掬いあげてください。涙もここでは水とすぐに混ざり合ってしまう。あの泡にこめられた言葉は「    」。きっと、そうだろう。誰か、あの「誰か」を――



けれど、そのとき、その言葉を呟いたぼくの気持ちに、嘘はないから。



虹かなって思ったら、雲の切れ間から夕焼けが滲んていただけだった。でもきれいだったよ。



水草が首にまとわりつく。動けば苦しくなる。身体の中に空気はどこにも残ってないから、声を水面へ届けることはできなかった。透明のなかで滲んだ赤は、すぐにどこかへ消え去っていった。それでも、ここにいるのは不快じゃないから…。このままでいるよ。



きらきら。雨粒ふりそそぐ。 こぽこぽ。泡が舞いあがる。



種を蒔きましょう。芽が出て花開くときに僕はいないでしょう。



指先で伝える気持ち



いろんな声が文字になって、いろんな色を持って、連なっていく



ぼくの心音は泡にならない



普通じゃないとだめなのに、どうして個性を求めるの?



愛がある行為って どんなものでしたっけ



広く澄み渡っていると思っていた所は円柱型の水槽のなかで、水草だと思っていたのは数々のケーブルだった。空があるわけでもない、泡が届くことも、なにもなかった。

繋がれたケーブルを伝う僕の電気信号は、モニタ越しに映し出された。「――――――、」の意味を、僕は、僕は…



今僕が貴方に何を言っても、傷つけることにしかならないでしょう。僕自身も傷つくだけでしょう。それなら、僕は口を閉ざしましょう。久しぶりに貴方を見たから話しかけたかったのだけれど、どうやら叶わないようです。(ここではない別の世界の話)



夢のなかは僕にやさしくもないけど、これでいいんだろうな。お似合いだ。



吐く息は色を持ち、また季節が巡ることを教えてくれた



この道行けば、きみにあえる?



恋は盲目とは、よく言ったもの。



心音を確かめるように手をあてた



この涙を見られないように、そっと目を覆った



手をのばしてもいい?



こんなとこにいるけど、みつけてくれる?



泡になって溶けていけるのなら、声を差し出しましょう。



自分が曖昧になっちゃった。境目がきえちゃったの。だから、おねがいします。あなたの見たままで僕の輪郭をなぞってください



この写真をとった日のこと、あなたは覚えているかな



最近、よく考えるんだ。あなたのこと。

髪を切る前しか、あなたは知らない。



世界は変わらず終わりに向かっていく



すこしだけ、感傷的。



たった一言他愛無い一言のメールを送って、返事だって来るかわからないのに、何度も画面を覗きこんだりしてる。



戻りたい、と願うわけじゃない。これで、この関係でいい。だけど、未練がない、なんて言えやしない。未練まみれだよ。



恋に上書きなんて、できなかった…。

未練、じゃないか。すきだ。いまでも、はなれても、すき。



ひといき。ながい電話をかけてくれた。実ることのない思いを伝えた。実らないけれど大切に受け取ってくれた。



黄昏というにはまだ早くて、けれど空はもう暮れはじめていて、へんてこだけれど、穏やかな休日



これは変わらなかったよ。これからの僕らの道が色鮮やかでありますように。



「こういうこと、話せる相手、いつかまた見つかるよ」。うん。いつか、きっと。

それまでは、少しだけこんなお友だちのままで。



事実であろうと事実じゃなかろうと、本人が本人から受け止めればいいよ。まわりが手を出す必要はないよ。「ねぇなんでどうして」とかってやかましく言われたら、サクっと言ってあげればいいんだよ。



たとえ立ち止まったとしても。逃げたとしても。



パーソナルエリアへの入場権はお持ちですか?



僕が触れたということは

僕が触れようともしなかったということは



真っ赤な感情を、ぼくは知らない



夢の中、独りでいるぼくは、三角座りをして小さく小さくなる。何もない真っ白な部屋の隅っこで、ただひとり。



窓の外は雨。部屋の中は暖房がついててほんのりと温かい。雨が勢いをましてきた。



あなたの癖を見つけられないまま、あなたとの距離は離れてしまった。あなたは僕の癖を見つけていたのかな。



ぼくの自己否定で誰かを傷つけてしまうのなら、ただ自分を責めるだけで終わらないのなら、やめないと。すぐには、ちょっと無理かもだけど。きっと、少しずつ変わっていけるから。



外との仕切りは自然の音



穏やかな夜を過ごすのはいつぶりだろう。ため息のような深い息を吐いて布団に沈む。朝目が覚めたとき、世界がまた輝いていますように。



耳元でささやくのは悪魔の甘い囁き。「おまえのことなんか―――」。覆った手のすきまから入り込んでくる。やめて。いまは、違うって。違うって言ってくれたから、それを信じるの。



僕vs俺。いまだけは絶対に負けない。



胸に抱えられるだけ抱えて、眠りにつきます。ありがとう。おやすみなさい。



真っ白な部屋で三角座り。 ひらり、と色が落ちてきた。 見上げれば上から花弁が舞い降りる。 いろんないろ。床に色が灯り、僕の髪にもいくつか付いた。 ほんのりと甘い匂いを連れてきた花弁は絶えず降り注いでる。 ありがとう。 上をむいて呟いた僕の口に薔薇の欠片。こくり、とのみこんだ。



こんなに胸が温かいこと、あったかな…。本当にうれしかった。今日まで引きずらなくて本当によかった。こんなにうれしいと思えたことがとてもうれしくて、うれしいきもちをくれたみなさんに、もっともっと感謝。



虹色を薄めたような空



間違いかどうかは、自分の心が決める、んだと思うの。人のことを言えないくらいの自己否定の塊が言ってみる。



僕は、ここにいる。



あの人と付き合って「好き」を知って人間らしくなって繋がって安心感で涙が出て憎いと思ってそれでも好きという気持ちに変わりはなくてもっともっと好きになって、ふたりが壊れてしまう前にさよならをした。

素敵なことも、辛いことも、たくさん。もう、恋愛なんていらない、とかそういうことじゃないよ。そうじゃなくて、また一人で生きていけるだけの、いろんなことを教えてくれたから、だいじょうぶだとおもったんだ。

恋をすることがあるなら、それでいい。それがないなら、それでもいい。

人の心を知ったから。

―――、ぼくがにんげんになったお話。



人と会うのはとても不安で。人並みに飲まれるのも本当は怖くて。だけど、それでも、足が震えていても、あなたとあなたに、会ってみたいと思ったから。だから、僕は、自分と戦う。



花に水を。僕としては、水生植物ならいいのになぁ、なんて思ってしまうけれど。やっぱり花は光と風を浴びてる姿が美しい。

水をやりすぎて枯らしてしまったあの花のことを思いだした



尾鰭は2本の足になって、声は空気となった。人魚姫はそれだけのものを引き換えにして、愛に生きたのだと言う。僕には一生かかっても理解できない感覚だろう。



皆のところから見えない場所で、生きてるよ。



ああ。もう叶うことはないこの思いは僕が人間になった証



近所に居る野良猫のように、たまに見かけて、いなくなったらちょっと思いだしてすぐに忘れてしまえるような人間になりたい。



おかえり、世界



Re:大嫌いな僕らは



ああ、貴方がその手に持つナイフで、どうかわたしの喉を一突きにしてください。おねがいします。心臓でもいいのだけれど、こころを刺されるのはなんだか寂しいような気がしたから。